無外流居合
姿 勢 | 富嶽聳東海 |
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抜き付け | 怒濤砕厳礁 |
斬り上げ | 竜巻揺星辰 |
斬り下げ | 飛瀑轟地軸 |
刺 突 | 疾風倒巨木 |
残心納刀 | 火山止鳴動 |
第一の姿勢は、端然として均整がとれ、前後左右いずれから見ても、ゆったりとした中に隙のない姿勢でなければならない。ちょうど富士山が東海に聳えているように、和やかな美しさを有していることである。他の高山に見られない気品があって我等にせまるものがある。
第二の抜き付けは、一挙に敵を破砕する気持でこれを行う。ちょうど怒涛が押し寄せ、厳礁にぶつかって玉と砕けるのを想像してこれを行えば、しっかりした抜き付けが出来るであろう。
第三の斬り上げは、敵の右脇から左頸動脈に向かって斬る動作で、竜巻が大空に向かって巻き上がり、星辰を揺るがせて撒き散らす気持で斬り上げることが大切である。
第四の斬り下げは、真っ直ぐに斬り下げる場合と、斜めに斬り下げる場合とあるが、いずれにしても飛瀑が天際から落ちて地軸を轟かす気勢で振り下ろすことである。
第五の刺突は、敵の胸または腹部に向かって鍔はもちろん拳をも突き込む気持ちで行うので、ちょうど疾風が過ぎるや高楼巨木を押し倒していく、あれを想像して行えば必ず気迫ある突きが出来るであろう。
第六の残心納刀は、第二、第三の敵に備えていつでもこれに応じ得る心構えをもって静粛に行う動作であるが、活火山が一時鳴動を止めたに過ぎない状態と同様で、何時爆発するか分からない気迫をもって動作しなければならない。