中川士龍第11代宗家の無外流を弘流するため『士龍』の名をいただき、第12代継承者【岡本義春】により結成された『無外流・士龍会』

無外流とは

無外流とは

 山口流剣術の流れをくむ『辻 月丹資茂』創始による無外流は、姫路藩『酒井家』剣術指南役髙橋家により、併傳武術としての自鏡流居合(無外流居合)とともに継承されてきた。
 第十代髙橋赳太郎高運の弟子であった第十一代中川申一は、無外流兵法と無外流居合を再編成し、体系立ててこれを『無外眞傳無外流居合兵道』とした。
 中川宗家は、『無外眞傳無外流居合兵道会』を結成し、無外流を弘流するとともに『高野山高室院』にて『流祖法要』を執り行うなど、今日に至る礎を確かなものとした。
 晩年に至り、六名の高弟に無外眞傳の極意とともに『皆伝之巻』を与え後継者となし、次代を託した。この中の一人が『無外流士龍会』の創設者である第十二代岡本義春範士である。  『無外流士龍会』は、東京・八王子市を中心に無外流居合を伝承している。
系譜
辻

中川宗家の残された気勢・気韻

居合の気勢気韻

無外流居合

姿  勢 富嶽聳東海
抜き付け 怒濤砕厳礁
斬り上げ 竜巻揺星辰
斬り下げ 飛瀑轟地軸
刺  突 疾風倒巨木
残心納刀 火山止鳴動

第一の姿勢は、端然として均整がとれ、前後左右いずれから見ても、ゆったりとした中に隙のない姿勢でなければならない。ちょうど富士山が東海に聳えているように、和やかな美しさを有していることである。他の高山に見られない気品があって我等にせまるものがある。

第二の抜き付けは、一挙に敵を破砕する気持でこれを行う。ちょうど怒涛が押し寄せ、厳礁にぶつかって玉と砕けるのを想像してこれを行えば、しっかりした抜き付けが出来るであろう。

第三の斬り上げは、敵の右脇から左頸動脈に向かって斬る動作で、竜巻が大空に向かって巻き上がり、星辰を揺るがせて撒き散らす気持で斬り上げることが大切である。

第四の斬り下げは、真っ直ぐに斬り下げる場合と、斜めに斬り下げる場合とあるが、いずれにしても飛瀑が天際から落ちて地軸を轟かす気勢で振り下ろすことである。

第五の刺突は、敵の胸または腹部に向かって鍔はもちろん拳をも突き込む気持ちで行うので、ちょうど疾風が過ぎるや高楼巨木を押し倒していく、あれを想像して行えば必ず気迫ある突きが出来るであろう。

第六の残心納刀は、第二、第三の敵に備えていつでもこれに応じ得る心構えをもって静粛に行う動作であるが、活火山が一時鳴動を止めたに過ぎない状態と同様で、何時爆発するか分からない気迫をもって動作しなければならない。

無外眞傳無外流居合


正 座

五 用 (ごよう)
真  (しん)
連  (れん)
左  (さ)
右  (ゆう)
捨  (しゃ)
五 箇 (ごか)
水 月  (すいげつ)
陰中陽 (いんちゅうよう)
陽中陰 (ようちゅういん)
響き返し (ひびきがえし)
破図味  (はずみ)

立 技

走り懸り (はしりがかり)
前 腰  (まえごし)
夢想返し (むそうがえし)
廻り懸り (まわりがかり)
右の敵  (みぎのてき)
四 方  (しほう)
五 応 (ごおう)
胸尽し (むねづくし)
円 要 (えんよう)
両 車 (りょうぐるま)
野送り (のおくり)
玉 光 (ぎょくこう)

内 傳

三行一致 (さんぎょういっち)
神 門  (かみのと)
万法帰一刀 (ばんぽうきいっとう)

居合の形 (いあいのかた)

刀の形 (とうのかた)
北 斗 (ほくと)
太 白 (たいはく)
稲 妻 (いなずま)
霞   (かすみ)
流 星 (りゅうせい)
脇差の形 (わきざしのかた)
切り留  (きりどめ)
突 留  (つきどめ)
受け流し (うけながし)
斬り上げ (きりあげ)
位 詰  (くらいづめ)